平成7年5月より平成8年2月12日まで、予定通り初回心筋梗塞連続65例で採血が終了し、58例でACE遺伝子多型の同定が終了している。このうちDD型は7例、ID型は34例、II型は17例で認められた。死亡例は6例でDD型が1例、nonDD型が5例であった。38例で発症2週間から4週間後の心エコーが実施できた。DD型とnonDD型(ID型、II型)の間で、年齢、性別、梗塞部位、peak CK、killip分類、慢性期左室駆出率、左室拡張末期容量に差はなかった。Forrester分類では有意には至らなかったが、DD群がnonDD群に比し軽症例が多い傾向にあり、症例を重ねることによって有意となる可能性がある。 また、当院での過去の心筋梗塞例で、発症後1ケ月と1年の時点でのRIアンギオグラフィーを受けていた51例にて採血が行われ、ACE遺伝子多型の同定が終了している。DD型は14例、ID型は16例、II型は21例で認められ、左室再構築(発症後1年での左室拡張末期容量の20%以上の増加)を認めたものは、DD型で36%、ID型で19%、II型で24%であった。DD群でnonDD群に比し多い傾向が認められたが、統計学的有意には至らなかった。 今後、平成7年度の患者の発症後1年での心エコー記録を開始するとともに、初回心筋梗塞例で、ACE遺伝子多型と左室再構築の関係について梗塞部位、梗塞量など左室再構築に関係する臨床因子を加えても有効な解析ができる症例数を得ることを目標とする。
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