研究課題/領域番号 |
07670821
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研究機関 | 関西医科大学 |
研究代表者 |
岩坂 壽二 関西医科大学, 医学部, 教授 (00098120)
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研究分担者 |
松原 弘明 関西医科大学, 医学部, 講師 (10239072)
辻 久子 関西医科大学, 医学部, 講師 (60201638)
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キーワード | レニン・アンジオテンシン系 / アンジオテンシン変換酵素 / 遺伝子多型 / 心筋梗塞 / 左室再構築 / 死亡 |
研究概要 |
平成7年5月より平成9年11月までに初回心筋梗塞の連続例で合計290例のACE遺伝子多型の同定を行った。このうちDD型は45例(16%)、ID型は128例(44%)に認められた。 発症2週間後と1年後の心エコーが記録されたのは生存例中82例で、19例(23%)が左室再構築群であった。DD型11例、ID型38例、II型33例で左室再構築を認めたのは、DD型4例(36%)、ID型9例(24%)、II型6例(18%)とDD型、ID型、II型の順に左室再構築の頻度は減少したが、統計学的有意差には至らなかった(p=0.1591)。年令、梗塞部位、急性期再潅流療法の有無、ACE阻害剤使用の有無、高血圧の有無、14日目のEFを共変量としたlogistic回帰分析では、DD型はII型ID型に比し2.486倍左室再構築が多いが、これも統計学的有意差には至らなかった(p=0.1722)。欧米での報告で、DD型に左室再構築が有意に多いと報告されている。私達の結果が、この結果に類似しているものの有意に至らなかったのは検出力の差で、左室再構築とACE遺伝子多型の関係における人種差ではないと考えた。 一方、院内心臓死は28例で、DD型1例(2%)、ID型18例(14%)、II型9例(8%)であった。logistic回帰分析では、DD型が、年令、性別、梗塞部位、Killip分類、急性期再潅流療法、ACE阻害剤の使用、β遮断剤の使用と独立して院内予後が良好なことと関係した(p=0.0227)。DD型では、臨床的に種々の循環器疾患の頻度が高く、予後も不良と報告されている。私達の結果はDD型の方が予後良好と、従来の報告に相反する結果であった。そのメカニズムについては、アンジオテンシンIIが、Protein Kinase Cを介して虚血耐性を生じるとの動物実験結果があり、これを証明する初めての臨床モデルと考えた。
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