研究概要 |
(1)量的解析-今回LpA-Iの代謝回転様式を正常家兎において検討した。【方法】血清よりLpA-Iを分離し、さらにlarge LpA-Iとsmall LpA-Iに分画した。McFarlane変法により^<125>I-Naでlarge LpA-Iを、^<131>I-Naでsmall LpA-Iを標識後、正常家兎の耳静脈内に同時注入し、経時的に採血した。【結果】Large LpA-IのFCRは、small LpA-IのFCRより有意に低下していた(0.801±0,026/day 2.227±0.067/dayだった)。【総括】今回我々の研究結果からLpA-Iにも2通りの経路が存在することがわかった。 (2)質(機能)的解析-HDL機能的解析としては、VLDLとLDLを沈澱した後の血清(HDL分画)をFrohlichらの方法により^3H-FCとincubateし、FCとCEをTLCで分画させ、それぞれのカウントから、コレステロースエステル化率(FER_<HDL>)を算出した。【結果】FER_<HDL>値は患者群の方が正常群に比べ有意に高値を示した(13.3±3.7%-hr vs. 12.2±3.4%-hr, P<0.05)。FER_<HDL>は、患者群及び正常者群共に血清HDL-C値及びHDL2-C値と逆相関があった。FER_<HDL>レベルが高くなると冠動脈硬化の危険率は高値を示した。FER_<HDL>低値の場合、低HDL-Cの高HDL-Cに対する冠動脈硬化の相対危険率は1.8倍だったが、FER_<HDL>高値の場合、低HDL-Cの高HDL-Cに対する冠動脈硬化相対危険率は、3.8倍だった。 (3)遺伝的解析-【対象】冠動脈造影により有意狭窄を有する虚血性心臓病患者85例及び正常冠動脈86例を用いた。【方法】対象者末梢血(EDTA採血)500ulより抽出したDNAをPCR法を用い増幅、Msplを用い遺伝子多型を検討した。【結果】新しいアポAI-Msplの正常者でのallele 1,2の頻度はそれぞれ0.968, 0.032,患者群では0.929, 0.071とやや患者群にallele 2頻度が大であった。またgenotype 1/1, 1/2, 2/2で血清脂質、リポ蛋白値に有意差はなかった。アポAL(A to G)多型のallele 1,2の頻度は正常群で0.863, 0.137,患者群で0.818, 0.182と2群間に差がなかった。アポAI-Mspl及び(A to G)多型の分析からそれぞれ1/2, 1/1のgen otypeの共存が患者群に多くみられた。
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