研究課題/領域番号 |
07670829
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研究機関 | 国立循環器病センター |
研究代表者 |
松田 尚雄 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室員 (30229489)
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研究分担者 |
宮武 邦夫 国立循環器病センター研究所, 内科心臓部門, 部長
上松 正朗 国立循環器病センター研究所, 循環動態機能部, 室長 (00270728)
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キーワード | 傷害血管 / バルーン・カテーテル / アドレナリン作動性収縮 / 内膜肥厚 / 一酸化窒素 / 血小板活性化因子 / 炎症性サイトカイン |
研究概要 |
本研究者らが新たに作製したシラスコン性マイクロバルーン・カテーテルを用いて麻酔下にモルモット大腿動脈(FA)を機械的に傷害することにより、筋型動脈の傷害モデルを作製した。一側のFAを傷害し、対側FAを対照とした。傷害2及び8週後に両側FAを摘出し、以下の検討に供した。即ち、対象FAは傷害2週後の対照FA・傷害FA(I2)、傷害8週後の対照FA・傷害FA(I8)の4群より成る。これらの標本は、Tyrode液を満たしたMagnus管中に懸垂し、等尺性張力を計測した。標本の血管周囲神経を電気的に刺激することによりアドレナリン作動性収縮(AC)を惹起した。また実験終了後に固定後Hematoxylin-Eosin染色を行い、鏡検して内膜・中膜の面積を計測した。一酸化窒素合成酵素阻害剤により各群におけるACは増強したが、その程度はI8で他の群に比し有意に減弱していた。またノルアドレナリン収縮後のアセチルコリンによる弛緩反応の程度も同群で有意の減弱を観察した。一方、各群において知覚神経ペプチド遮断剤(カプサイシン)はACに対して有意の変化を生じず、同ペプチドはFAではACの修飾因子としては作動していないことが示された。形態学的検討ではI2及びI8で進行性の内膜肥厚が認められた。以上の成績より、傷害筋型動脈では形態学的な内膜肥厚を伴って、一酸化窒素によるアドレナリン作動性収縮抑制が減弱しており、これが血管トーヌス亢進を招来しうることが推察された。次いで傷害血管におけるトーヌス亢進の機序について更に検討を進め、同血管において作動が指摘されている炎症性サイトカイン作用のメディエーターである血小板活性化因子のACに対する作用を検討し、シクロオキシゲナーゼ系エイコサノイドを介した内皮依存性のAC増強作用を見い出した。現在、引き続き、炎症性サイトカインそのもののACに対する作用を検討し、その作用機作との関連について検索中である。
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