研究概要 |
IgA腎症にみられるIgA-フィブロネクチン形成の意義を検討するために以下の研究を行った. I)断片化フィブロネクチンとIgA1の結合性の検討. 【検討項目】(1)Heparin-affinityカラム処理IgA腎症患者血清,cathepsin D処理FNをSDS-PAGEからnitrocellurose膜へ転写,固相化したFN断片化物に対するIgAの結合性.(2)IgA1-affinityカラム結合性FN断片化物の性状.(3)未処理FNを被覆したpolystyreneへのIgA-断片化FN混合物の結合性.【結果】固相化患者血清由来泳動物へのIgAの結合は約60kdの泳動帯のみにみられカテプシンD処理断片化FNへの結合位置と類似していた.酵素処理FNのIgA1-カラム溶出物はきわめて微量で上述のIgA結合結合フィブロネクチン断片化物と同一であるかはさらに検討が必要である.IgA1-断片化FN混合物のFN被覆plateへの結合性はIgA1-無処理FN混合物より大であった. II)IgA1-アフィニティー担体であるジャカリンアガロースをbatchwiseに用いて試験管内精製IgA-フィブロネクチン複合体におけるフィブロネクチン断片化物の性状の検討. 【検討項目】IgA1あるいは初乳由来IgAとカテプシンD処理FNを試験管内で混合,孵置,ついでjacalin-agaroseと反応させ,IgAを介して結合すると思われるFNをSDS-PAGE,抗ヒトFN-monoclonal抗体(Takara,FN1-1)によるwestern blotを行った.対照としてIgG+FN,protein Gによる検討を加えた.【結果】jacalinによる血清処理では,患者,対照ともにFNが検出されたが,FNあるいはFN断片化物単独でも結合性を示し,IgA-FNのIgA側の結合仲介物としては,不適当であった.また,報告されているjacalinを用いたIgA1精製は容易にFNが混入する可能性が示唆された.
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