研究課題/領域番号 |
07670836
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
今泉 益栄 東北大学, 医学部, 講師 (40191895)
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研究分担者 |
鈴木 保志朗 東北大学, 医学部・附属病院, 医員
井出 宏之 東北大学, 理学部, 教授 (70022704)
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キーワード | 急性前骨髄性白血病 / レチノール酸分化誘導 / PML / RARα |
研究概要 |
【目的】急性前骨髄性白血病(APL)はPML/RARαキメラ遺伝子を本質的病因とし、all-trans retinoic acid(ATRA)により分化誘導される白血病の一型である。ATRA分化誘導療法により凝固異常症を併発せずに寛解導入する事が可能となった現在、再発の有無がAPLの予後を決定する最も大きな因子である。一方、PML/RARαキメラ遺伝子は切断点クラスター領域の相違により、主要な2つの融合型(long form 及びshort form)に分類され、さらに複雑なsplicingにより多様なisoform mRNAが存在する。本研究は、APL患者におけるキメラ遺伝子融合型と予後(特に、再発の有無)の関連性検討を目的とする。【対象と方法】対象APL患者は25名(男11例・女14例、年齢4-76才、初発22例・再発3例)。治療前の白血病細胞からAGPC法によりRNAを抽出し、RT-PCR法、アリル特異的オリゴヌクレオチド・ハイブリダイゼーション法及び塩基配列決定によりキメラ遺伝子の融合部位の検出と同定を行った。また、8症例においては、経過中の骨髄細胞におけるキメラ遺伝子の有無を同様の方法により検出・解析した。【結果】(1)APL25症例中、キメラ遺伝子融合型long form=21例、short form=4例であった。両群の再発症例は各々3/21,3/4例であり有為差を認めた(p=0.03 1)。年齢、観察期間、ATRA反応性、ATRA療法中の白血球増多に有意差を認めなかった。(2)治療期間中のキメラ遺伝子は両群で検出されたが、long form融合型患者においてsplicing異常に起因する多様なisoform mRNAが血液学的寛解時期にも認められた。【考案】APLの予後は治療内容を含めた複数の因子により決定されるものであるが、キメラ遺伝子融合型short formの生物学的特性がAPL再発に関連している因子である事が示された。
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