研究概要 |
全身型カルニチンパルミトイルトランスフェラーゼ(CPT)II異常症の日本人家系の遺伝子解析をおこない,4種類のミスセンス変異(E174K,F352C,V368I,F383Y)を見いだした。このうちのV368I変異は従来から報告されている遺伝子多型であった。また,F352C変異は日本人で認められる遺伝子多型であった。残る2種類のE174K変異とF383Y変異が,全身型CPT II異常症の病因となる遺伝子変異であるかどうかを確認する目的で,以下の研究を遂行した。 CPT II遺伝子のミスセンス変異がタンパク質レベルでどのような異常をきたすのかを検討するため,高いタンパク発現効率を有するpCAGGS plasmidに野生型CPT II cDNAを組み込み,これをCos-7細胞にトランスフェクションした。この遺伝子導入により,Cos-7細胞のCPT II活性は遺伝子導入前の4倍程度に増加した。次に,野生型CPT II cDNAを組み込んだplasmidにE174K変異とF383Y変異を導入した。これらのミスセンス変異をもつplasmidを用いて同様のタンパク発現実験をおこなったところ,遺伝子導入により増加するCPT II活性は,いずれにのミスセンス変異においても野生型の場合の約30%に低下しており,今回日本人家系で見いだしたE174K変異とF383Y変異が全身型CPT II異常症の真の病因となっていることが確認された。
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