研究概要 |
小児のapolipoprotein E phenotype分布と疾患の関連を当科および関連病院患者269人(高脂血症、甲状腺機能低下症、悪性腫瘍、学校検尿対象者、腎疾患など)について分析した。その結果:E3/3(192人,71.6%)が最も頻度が高かった。次いでE4/3(45人,16.8%)、E3/2(24人,9.0%)の順序であった。またE5/3が5人(1.9%)にみられた。その他極めてまれな変異型としてE7/4が1例発見されたが、臨床像については分析中である。また健康小児143人を分析しE3/2(7.0%),E4/2(1.4%),E3/3(69.9%),E4/3(20.3%),E2 allel(4.3%),E3(84.3%),E4(10.8%)という結果を得た。 家族性高コレステロール血症患者では特に有意なアポEフェノタイプはなかったが、E4を保有しない場合、治療に反応し血清コレステロールが低下しやすい傾向が認められたがなお症例を増やして分析中である。 二次性高コレステロール血症を呈する先天性甲状腺機能低下症ではアポEフェノタイプはLDLCに影響を及ぼさないことがわかった(Ciomartan T,Asami T et al.ApoE and effects of thyroid hormones on serum LDL cholesterol levels in infants with congenital hypothyroidism.J Clin End Metab投稿中)。また肥満児に見られる高コレステロール血症ではアポE4をもつと血清アポ蛋白Bが高値になり、将来的な冠状動脈硬化のリスク要因になり得る可能性が高いことがわかった(Ciomartan T,Asami T,et al.Obese children with the apoE allele have higher serum apoB levels. J Pediatr投稿中)。
|