研究概要 |
今年度は研究の最終年度であり、今まで行った研究結果を統計学的に処理をした。家族性高コレステロール血症(FH)では血清総コレステロール(TC)値にバラつきがあったが、特定のフェノタイプとは関連がなかった。しかしE4保有患者ではコレステロール低下療法に対する反応が非E4保有者よりも良かった。 また機序は異なるものの、FHと同様に高脂血症を呈する肥満とアポEの関係の有無を検討した。37例の肥満小児(平均10.1歳、男子25例、女子12例)を対象とし、血清総コレステロール(TC)、中性脂肪(TG)、high density lipoprotein cholesterol(HDLC)およびapolipoprotein A-I,B,Eを測定し、apoE phenotypingを行なった。その結果はapoE phenotypeはE3/3(肥満児73.0%,対照70.0%)が最も多く、次いでE4/3(19%,20.4%)、E3(5.0%,7.0%)の順であり両群に有意差はなかった。肥満E4/3群ではTC,TC動脈硬化指数がE3/3群よりも高値であった。またE4allele保有肥満児ではapoB濃度およびapoB/apo4比が有意に高値であった。肥満児の中でもapoE4allele保有者はapoBおよびapoB/apoAが高く、動脈硬化リスクが高いと考えられる。肥満児のapoE phenotypingは将来の動脈硬化リスクの高い小児を判別するために有用な方法であることを明らかにした。その他、高脂血症を呈するネフローゼ症候群では巣状糸球体硬化病変および治療抵抗性と関連が強いことを明らかにした。
|