FBPase欠損症は低血糖による突然死が問題になる。しかしながら、正確な診断のためには従来は肝生検が必要であった。今回の研究では(1)肝臓組織の代わりに末梢血による患者および保因者診断を目的として、日本人でのFBPase欠損症の高頻度遺伝子変異のひとつであるG挿入(1154から1158番目の塩基の間に)変異の簡易な検出方法の開発;(2)新たな日本人FBPase欠損症患者での遺伝子変異:以上の2点について検討した。 (1)G挿入(1154から1158番目の塩基の間に)変異の簡易な検出方法の開発;遺伝子分析によるスクリーニングを最終目的とするために、G挿入変異を含むPCR産物の簡易分析方法として、SSCP(single stranded conformation of polymorphism)法とMDE-gel法の2方法について比較をおこなった。40名の健常人末梢血サンプルについて分析を行った。いずれの方法にても患者および保因者診断は可能であった。これらの健常人サンプルの成績は遺伝子塩基配列決定法にも確認できた。検査時間および手間などの点ではMDE-gel法が優れていた。しかし、検査の精度の点ではSSCP法が優れていた。 (2)新たな日本人FBPase欠損症患者での遺伝子変異の解析:新たに一名のFBPase欠損症患者についても、G挿入(1154から1158番目の塩基の間に)変異のhomozygotesによる事が判明した。 以上のような成績を参考にして、今後はさらに大規模集団での遺伝子変異検出法による保因者診断を行う予定である。
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