研究概要 |
小児期の免疫不全状態に発症したグラム陰性菌感染に続発するエンドトキシンショックの病態に関して,血管内皮細胞を用いて好中球・マクロファージ活性化の機序を検討した。 その結果,グラム陰性菌由来のlipopolysaccharide(LPS),またはTNFの作用により内皮細胞上にICAM-1の発現が昴進し,食細胞上のβ2インテグリンの中でもとくに,CD11b(Macl)を介して細胞内情報伝達が食細胞内に惹起されることが判明し,引き続いて活性酵素の産生により組織障害がもたらされると推察された(発表予定)。またこの現象は百日咳毒素感受性であり,G蛋白質の関与が示唆されている。以上の反応はCD14の活性化によりさらに増強される。 内皮細胞からはNOが産生されるが,このガスが組織障害にどのような影響を持つかについては,現在検討中である。 組織障害や,炎症担当細胞である好中球の処理については細胞のアポトーシスが注目されている。われわれは炎症の衛星細胞であるマクロファージ・TリンパからのサイトカインであるTNF,GM-CSF,G-CSFをとりあげ,機能発現にも関連して興味深い知見を得た(発表予定)。 ショックに対する抗体療法に関しては,CD14抗体を作成中であるが,CD14ノックアウトマウスの検討がなされており,場合によっては実験計画の変更を考慮する必要があるかもしれない。
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