研究概要 |
CD27分子はT細胞の活性化に重要であるばかりでなく、免疫グロブリン産生においても役割を担っているものと思われる(Agematsu et al.Eur.J.Immunol.25:2825,1995)。臍帯血および年齢による末梢血B細胞上のCD27発現について検討を行い、さらに成人末梢血B細胞をCD27陽性と陰性にフローサイトメトリーにより分離し、その機能について解析を行った。 【結果】1)臍帯血B細胞にはCD27発現は見られなかった。末梢血B細胞CD27発現は年齢に伴い増強し、成人で約30%の発現が見られた。2)CD27のリガンドであるCD70発現は臍帯血と成人ともに活性化T細胞に認められた。3)SAC+IL-2刺激によるB細胞免疫グロブリン産生能は、CD27-B細胞では全く認められず、CD27+B細胞でのみ産生が見られた。CD27+B細胞における免疫グロブリン産生は、CD70トランスフェクタントの添加により著名な増強がみられ、anti-CD70mAbを加えることによりその増強は完全に抑制された。 【考案】CD27+B細胞が免疫グロブリンを産生し、リガンドである活性化T細胞のCD70より調節を受けているものと思う。年齢に伴い血清免疫グロブリン値が上昇していくのは、末梢血CD27+B細胞が増加してゆくためと思われる。以上より、CD27分子はB細胞のメモリーに関与しているように思う。
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