通常の染色体分析法により診断された小児11q23転座型白血病症例10例において、MLL遺伝子のサザンブロット法による解析、CD3YACを用いたFISH法による11q23領域の解析を行った。10症例全例でMLL遺伝子の再構成がサザンブロット法により、また11q23領域の異常がFISH法により認められた。10症例中3症例では、骨髄移植を含む治療経験観察に用いられた。このうち1症例においては、臨床的再発の3ケ月前にFISH法により異常細胞が陽性となっており、FISH法は治療経過観察に非常に有効な手段となりえると考えられた。 さらに、このうち1例ではt(11;14)(q23;q24)を見いだし、その転座切断点の解析を行った。11q23側転座切断点はMLL遺伝子の転座切断点集中領域の存在したが、14q24側はこれまで報告されていない新しい遺伝子領域にあった。転座切断点のごく近傍には、topoisomerase || consensus-like sequenceを認め、転座形成機構にtopoisomerase ||阻害剤の関与が示唆された。
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