研究概要 |
成人T細胞白血病ウイルス(HTLV-I)の母児感染に関する研究は平成9年度で12年を経過した。これまでの研究にて、以下の結果を得ている。 1)母児間のHTLV-I垂直感染率は人工乳哺育児で4.9%、母乳哺育児で8.0%であった。さらに母乳の摂取期間でわけると,6か月までの短期の母乳哺育児は2.5%であるのに比べ、7か月以降も母乳を哺育している長期群が25.0%と感染率は高く、2群間で有意差がみられた。 2)母親の移行抗体は,児のHTLV-I母子感染に阻止的に働くことが示唆された. 3)可溶性インターロイキン2レセプター(sIL-2R)は、HTLV-Iキャリア母親から出生したキャリア児が一般コントロール児、キャリア化しなかった児より高かった。しかし例数が少なく、有意差はこれまでのところみられていない。 4)今後児のHLAの検索や感染免疫学的な背景を検討する必要もあると思われる.
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