研究課題/領域番号 |
07670881
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 札幌医科大学 |
研究代表者 |
中田 修二 札幌医科大学, 医学部, 講師 (70155745)
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研究分担者 |
古川 圭子 札幌医科大学, 医学部, 助手
足立 憲昭 札幌医科大学, 医学部, 助手
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キーワード | ヒトカリシウイルス / 札幌型 / RNAポリメラーゼ領域 / シークエンス / ELISA法 |
研究概要 |
現在ヒトカリシウイルス(HuCV:human calicivirus)は遺伝子学的に3群に分類されており、1型はノルウオ-ク型、2型はスノーマウンテン型、3型は札幌型である。それぞれの型の間では、RNA dependent RNA polymerase(RDRP)領域における核酸レベルでのホモロジーは70%以下であり、抗原性においても共通性はほとんどみられない。 北海道立中央乳児院において、1979年と1981年に発生した札幌型HuCV胃腸炎の流行から得られたウイルスに関しては、RDRP領域のsequenceが行われた。1982年に同乳児院で発生した流行から得られたプロトタイプと比較すると、核酸レベルで98%以上、アミノ酸レベルで100%と高いホモロジーが認められた。これに対して、1990年に札幌市内で検出された札幌型のHuCV散発例は、核酸レベルで90%とやや変異が見られたが、アミノ酸レベルでは98%とやはり高いホモロジーが認められた。即ち、ELISA法で検出される程度の共通抗原性を有しているHuCVでは、RDRP領域における核酸およびアミノ酸配列はよく保存されていること、少なくとも10年間に渡って札幌型のHuCVが札幌市内及び近郊で保存されていることが判明した。 平成4-5年度に、札幌市内の小児科病医院から集められた急性胃腸炎患児の糞便の札幌型HuCVのELISAによる検索では、さらに陽性検体が検出されている。また、ケニアにおいては同ELISAで21検体が陽性で、一部の検体についてはPCR産物が得られており、現在sequenceを行っているところである。さらに、1983年にサウジアラビアで検出されたHuCVは、札幌型のHuCV検出用のradioimmunoassay法による検討で陽性であったが、そのRDRP領域の分析が行われた。札幌型のプロトタイプと高い相同性を示し、英国、米国での結果と総合すると、札幌型のHuCVは世界各地に広く侵淫していることが示唆された。
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