1995 年度実績報告書

サイトメガロウイルスの経母乳感染における抗ウイルス活性因子に関する研究

研究課題

研究課題/領域番号	07670883
研究種目	一般研究(C)
研究機関	札幌医科大学
研究代表者	沼崎啓札幌医科大学, 医学部, 講師 (00228272)
研究分担者	若井周治札幌医科大学, 医学部, 助手 (30230907) 中田修二札幌医科大学, 医学部, 講師 (70155745)
キーワード	サイトメガロウイルス / 経母乳感染 / サイトカイン / 再活性化
研究概要	サイトメガロウイルス(CMV)の母子感染では、1ヵ月以降の母乳の乳清へのウイルスの排出が重要な役割を担っていることが推定された。また初乳中のsIgAなどの局所抗体およびラクトフェリンなどの抗ウイルス活性物質の関与あるいは乳腺局所における再活性化の成立なども示唆された。札幌市内の産科において分娩し、1カ月乳児検診にて小児科を受診した母親74名より分娩後3日目の初乳と1カ月時の母乳ならびに同時期の血清を採取した。乳清成分からは、PCR法でHCMVDNAの検索を行い、ELISA法にて血清抗CMV抗体価を測定した。乳清成分の抗CMV活性の検討は、HCMVAD169株を接種後のMRC-5細胞に、培養液で希釈した種々の濃度の初乳上清を加え、細胞毒性および細胞変性効果(CPE)を観察するとともに、前初期(IE)および初期(E)抗原に対する単クローン抗体を用い、CMV抗原陽性細胞数を対照群と比較した。また分娩後3日目の初乳と1カ月時の母乳の上清、同時期の血清中の可溶性IL-2レセプター(sIL-2R)、IFN-γ、TNF-α活性をELISA法で測定した。分娩後の母親74名中65名(87.7%)で分娩後3日目と1ヵ月目で抗CMVIgG抗体の保有が認められたが、抗体価の有意な変動およびIgM抗体の上昇は認めなかった。CMVDNAは分娩3日目の乳清では検出されなかったが、1カ月では抗体陽性者65名中14名の乳清において検出された。またCMVDNA陰性の初乳上清の抗CMV活性は確認されなかった。分娩後の血清sIL-2R活性値の有意な上昇は認めなかった。TNF-α値は分娩後3日目の初乳および1ヵ月目の乳清成分、特ににCMVDNA陰性例で上昇が認められた。IFN-γは分娩後3日目の初乳で有意な上昇が認められた。分娩後1ヵ月時の乳清へのCMVの排出に関しては、初乳および母乳上清のTNF-αおよびIFN-γなどのサイトカインが乳腺局所における再活性化に何らかの役割を果たすことも推定された。

研究成果

(8件)

すべてその他

すべて文献書誌 (8件)

[文献書誌] Numazaki K,et al.: "Latent Infection and reactivation of human cytomegalovirus." Serodiagn.Immunother.Infect.Disease. 7. 70-74 (1995)
[文献書誌] Asanuma H,et al.: "Cytokine response and polymerase chain reaction study of peripheral blood mononuclear cells in infants with human cytomegalovirus infection." FEMS Immunol.Med.Microbiol.12. 153-158 (1995)
[文献書誌] Asanuma H,et al.: "Role of milk whey in the transmission of human cytomegalovirus infection bybreast milk." Microbiol.Immunol.40(in press). (1996)
[文献書誌] Numazaki K,et al.: "Anti-human cytomegalovirus effects of breast milk." J.Infect.Dis.173(in press). (1996)
[文献書誌] 沼崎啓、他: "母乳とウイルス感染、サイトメガロウイルス感染症" 周産期医学. 26(印刷中). (1996)
[文献書誌] 沼崎啓、他: "サイトメガロウイルス感染の診断と児異常." 臨床婦人科産科. 50(印刷中). (1996)
[文献書誌] 沼崎啓: "周産期の感染と免疫." 南江堂, 196 (1995)
[文献書誌] 沼崎啓、他: "NEW MOOK小児科 8.出生前診断と胎児新生児管理" 金原出版, 220 (1995)

1995 年度 実績報告書

サイトメガロウイルスの経母乳感染における抗ウイルス活性因子に関する研究

研究代表者

沼崎 啓 札幌医科大学, 医学部, 講師 (00228272)

研究成果

[文献書誌] Numazaki K,et al.: "Latent Infection and reactivation of human cytomegalovirus." Serodiagn.Immunother.Infect.Disease. 7. 70-74 (1995)

[文献書誌] Asanuma H,et al.: "Cytokine response and polymerase chain reaction study of peripheral blood mononuclear cells in infants with human cytomegalovirus infection." FEMS Immunol.Med.Microbiol.12. 153-158 (1995)

[文献書誌] Asanuma H,et al.: "Role of milk whey in the transmission of human cytomegalovirus infection bybreast milk." Microbiol.Immunol.40(in press). (1996)

[文献書誌] Numazaki K,et al.: "Anti-human cytomegalovirus effects of breast milk." J.Infect.Dis.173(in press). (1996)

[文献書誌] 沼崎 啓、他: "母乳とウイルス感染、サイトメガロウイルス感染症" 周産期医学. 26(印刷中). (1996)

[文献書誌] 沼崎 啓、他: "サイトメガロウイルス感染の診断と児異常." 臨床婦人科産科. 50(印刷中). (1996)

[文献書誌] 沼崎 啓: "周産期の感染と免疫." 南江堂, 196 (1995)

[文献書誌] 沼崎 啓、他: "NEW MOOK小児科 8.出生前診断と胎児新生児管理" 金原出版, 220 (1995)

1995 年度実績報告書

沼崎啓札幌医科大学, 医学部, 講師 (00228272)

[文献書誌] 沼崎啓、他: "母乳とウイルス感染、サイトメガロウイルス感染症" 周産期医学. 26(印刷中). (1996)

[文献書誌] 沼崎啓、他: "サイトメガロウイルス感染の診断と児異常." 臨床婦人科産科. 50(印刷中). (1996)

[文献書誌] 沼崎啓: "周産期の感染と免疫." 南江堂, 196 (1995)

[文献書誌] 沼崎啓、他: "NEW MOOK小児科 8.出生前診断と胎児新生児管理" 金原出版, 220 (1995)