研究概要 |
1.t(17;19)を伴う急性リンパ性白血病細胞株におけるE2A-HLF融合遺伝子産物の発現と白血病化をもたらす分子生物学的作用機序 (1)われわれがt(17;19)を伴う急性リンパ性白血病患者より樹立した株化細胞の染色体転座部位の遺伝子配列を決定したところ,E2A遺伝子のエクソン13とHLF遺伝子のエクソン4が240bpのランダムな塩基配列を介して結合したタイプ1の融合遺伝子とE2A遺伝子のエクソン12とHLF遺伝子のエクソン4が直接結合したタイプ2の融合遺伝子が検出された.同一症例でふたつのタイプの融合遺伝子が検出される事はまれである. (2)E2A-HLF融合遺伝子に対するホスホロチオエ-ト型アンチセンス・オリゴヌクレオチドを上記株化細胞に導入したところ,DNA合成能(3H-thymidine uptake)の低下が観察された.この実験結果よりE2A-HLF融合遺伝子産物が白血病細胞の増殖に促進的に作用している事が示唆された. 2.11q23の異常を伴う小児急性白血病に対する非照射前処置による末梢血幹細胞移植の治療成績とPCRによる微小残存病変の検討 (1)従来,予後不良とされていた11q23に切断点を持つ小児白血病症例5例に対し非照射前処置による末梢血幹細胞移植を施行した.現在全例が7カ月〜44カ月間無病生存中である.末梢血幹細胞,移植前後の骨髄細胞の微小残存病変(MRD)についてはPCRを用いて検討中である.
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