研究概要 |
von Willebrand因子(vWF)と血小板膜蛋白(GP)Ib結合反応は正常血流状況では決して起こらない。vWFは血管破綻部位の内皮下組織構成成分と結合することで、GPIb結合能を獲得するが、本研究ではこの血管内皮下組織の未知vwF-GPIb結合反応促進物質の同定を目的としている。 戦略としては、in vitro実験系でvwF-GPIb結合反応を惹起することが知られる蛇毒蛋白ボトロセチン類似物質の生体内検索を試みるものである。 平成7年度までの成績で、純化ボトロセチンをマウスに免疫し種々の抗ボトロセチンモノクローナル抗体を作製し得た。この抗体の中で、vwF-ボトロセチン結合を完全に阻害するfunction-associatedな抗体(BCI-7)をマウス腹水にて大量生産した。平成8年度はこのモノクローナル抗体を用いて、各種、ヒト組織標本上での抗体反応性につき検討中である。現在までの検討成績では、ヒト臍帯、胎盤組織中の各種血管の内皮下組織にimmuno-reactivty陽性所見を一部得ている。このImmuno-reativtyが、血管による差(例えば、静脈と動脈、もしくは粥状硬化性血管など)とか、組織特異性があるかとの検討を現在、すすめているところである。 又、vwF-GPIb結合反応については、血流状況が重要な役割を果すとの最近の研究の流れより、種々の血流、ずり応力下でのこの反応の基ソ的研究(検討)を行ない、流動状況下では、固相化されることによるvwFの構造変化は、GPIb結合能獲得には必要ないとの新知見も得た(Blood.1996,88:3854-3861)。
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