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1997 年度 研究成果報告書概要

ミトコンドリア遺伝子異常症の細胞学的な病態解析

研究課題

研究課題/領域番号 07670891
研究種目

基盤研究(C)

配分区分補助金
応募区分一般
研究分野 小児科学
研究機関自治医科大学

研究代表者

小林 葉子  自治医科大学, 医学部, 助手 (20245046)

研究分担者 斉藤 茂子  自治医科大学, 医学部, 助手 (00260836)
研究期間 (年度) 1995 – 1996
キーワードLeber病 / MELAS / ミトコンドリアDNA / ミトコンドリア遺伝子異常 / PCR法
研究概要

ミトコンドリア遺伝子異常症では組織内に変異遺伝子がヘテロプラスミ-に存在し、その割合が発症発現に関わる因子である。疾患スペクトラムが拡がった本疾患において変異mtDNAが増幅して患者を形成する機構の解明が重要である。これまでの解析にはすべて細胞集団が用いられてきたが、すべての細胞が同じ動態をとるとは考えられず、1細胞レベルでの解析が重要と考えられる。
本研究はミトコンドリア遺伝子異常症であるLeber病(LHON)患者の末梢リンパ球をSingle-cell PCR法で検討した。その結果、本患者においてはリンパ球25細胞中21細胞は変異mtDNAのホモプラスミ-または正常mtDNAのホモプラスミ-にmtDNAが分配されていた。したがってこの患者の末梢リンパ球におけるヘテロプラスミ-はそのほとんどが細胞内ホモプラスミ-、細胞間ヘテロプラスミ-に由来し、リンパ球においては正常、変異両方向への細胞内ホモプラスミ-になるようにmtDNAが分配されていると考えられた。またMELAS(Mitochondrial encephalopathy,myopathy,lactic acidosis and stroke-like episodes)患者の末梢リンパ球においてはすべての細胞がヘテロプラスミ-に変異遺伝子を有していた。しかし、その割合は細胞毎に異なり幅広く分布し、segregationはされていなかった。SV-40でトランスフォームし、クローン化した培養筋細胞では細胞集団としてほとんどが(95%以上)正常遺伝子あるいは変異遺伝子とホモプラスミ-に近い状態になっていた。培養期間の異なる各クローン化細胞を50細胞ずつ1細胞解析したがヘテロプラスミ-を示す細胞や、細胞集団と異なる遺伝子をホモプラスミ-に持つ細胞は見いだせなかった。95%の正常遺伝子をもつクローン化細胞を培養を継続するとほぼ変異遺伝子のホモプラスミ-を示す細胞集団へと急激に変化した。
以上の研究よりミトコンドリア遺伝子異常症の患者のリンパ球では細胞内ヘテロプラスミ-であるが、クローン化した培養細胞では細胞内ホモプラスミ-に近い状態にsegregationされており、正常ホモプラスミ-に近い状態を示すクローン化細胞内にわずかに残る変異遺伝子は培養を継続することで複製されやすいと考えられた。細胞内ヘテロプラスミ-を示すMELAS患者リンパ球は細胞培養にてクローン化することができなかった。今後は、ミトコンドリアに直接遺伝子を導入する方法(遺伝子銃)を用いて細胞内ヘテロプラスミ-を示すリンパ球の作成が必要と考えられた

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公開日: 1999-03-16  

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