小児6例、成人20例のM0型白血病について微細構造および細胞化学的に比較検討した。電子顕微鏡形態学的には、M0の芽球は特徴の少ない未熟な形態を示し、核は円形で、切れ込みは少ない症例と浅い切れ込みを有する症例が認められた。核クロマチンの凝集は少なく、核小体は大きく、細胞質は広かった。粗面小胞体の発達は不良なものから中等度発達したものまで認められた。顆粒は0〜数個と少なかった。一般的に小児のM0の芽球は成人よりさらに未熟な形態学的傾向を示した。ミエロペルオキシダーゼは、成人では17/20例約85%の症例で陽性を示したが、小児では4/6例が陽性を示したのみであった。反応部位は、顆粒のみにミエロペルオキシダーゼ反応を示すものが多く、次いで、粗面小胞体のみのもので、この両者に反応を示すものはすくなかった。血小板ペルオキシダーゼは殆どの症例で陰性であった。過ヨウ素酸反応性糖化合物をみると、小児、成人のM0ともグリコーゲンは(-)〜ごく少量であった。Golgi-endoplasmic reticulum-lysosome(GERL)成人症例では発達は良好であったが、小児では不良であった。電子顕微鏡で核DNAの分布をみると、凝集は(-)〜軽度で、成人と小児の間に大きな差はみられなかった。細胞質RNAはM1と比べて少ない症例が多かった。 表面マーカーの違いによる微細構造上、細胞化学上の違いは明らかではなかった。 Mixedタイプ白血病は表面マーカーの差により形態的、細胞化学的にバラツキは多かったが、一般的に、骨髄系というよりは形態的にはリンパ性白血病に似ているものが多かった。また、電顕ペルオキシダーゼも陰性のものが多かった。 AUL(acute undifferntiated leukemia)もM0に比較して電顕ペルオキシダーゼ陰性のものが多く、CD7陽性例はすべてペルオキシダーゼ陰性であった。
|