研究概要 |
小児科とくに未熟児新生児医療において、人工脂肪乳剤投与中に中性脂肪のmono-hydroperoxide (TG-OOH)が発生し、増加していくことを報告した。そこで、、大豆油を光酸化して分離精製したTG-OOHを含有し、リン脂質と遊離コレステロールをsurface lipidにTG, cholesteryl oleate (CO)をcore lipidにもつ14C-Triolein (TO)と3H-COでラベルした脂肪乳剤(oxidized emulsion : OxEM)を作成し、TG-OOHを含まない正常なEMと代謝を比較検討し、以下の結果を得た。 1.OxEMの3H-COで表されるEM remnantの血漿消失曲線は、2相性の曲線を描く。即ち、最初の3分で急速に消失したのちは、血中に停滞する経過をとり、この傾向はTG-OOH含量が多いEM程顕著であった。fractional clearance rate (FCR)でみると、正常EMのFCRが0.134±0.0047/minであるのに対し、TG-OOH/TG ratioが0.031のOxEMでは0.1184±0.0101であり、0.052のOxEMでは、0.0941±0.0152/min、0.120のOxEMでは0.060+0.0373/minであった。 2.投与30分後の肝臓への取り込みを見ても、TG-OOHを多く含むOxEM程取り込みは低下していた(76%vs66%)。 3.lipolytic indexは正常EMも、OxEMも有意差なかった。 なお、現在EMに結合するapo蛋白を検出中であり、TG-OOH含有EMを初期急速にに取り込む組織を検索中である。 以上より、TG-OOH含有EMとは明らかに異なる代謝をとることより、臨床ににおいてはTG-OOHの混入または発生を防ぐ方策をとることが望まれる。
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