新生児未熟児医療で使用される静注用脂肪乳剤は、中性脂肪のhydroperoxi-des(TG-OOH)が含まれている。酸化された脂肪乳剤がCMと同様な代謝をするかについての報告はない。そこで、今回はTG-OOHを含有する脂肪乳剤の諸臓器への分布について検討した。 【方法】1)酸化油 : 2時間光酸化を行った大豆油から、TG-mono-OOHと=C triolein(TO)で標識された中性脂肪、遊離型とエステル型コレステロール、リン脂質からなる脂肪乳剤を作成し、添加する酸化油の量により、非酸化、低酸化、高酸化の3種類の脂肪乳剤を作成し、脂肪乳剤中のTG-OOH量は、科学発光高速液体クロマトグラフィーで確認した。3)代謝実験 : ラットに標識した脂肪乳剤を投与し、諸臓器(肝臓、腎臓、脾臓、肺、脳、脂肪組織、筋組織)の取り込み率を調べた。【結果・考察】1)非酸化、低酸化、高酸化群におけるTG-OOH/TGモル比はそれぞれ0.0、0.051、0.24であった。2)COの肝像への取り込みは非酸化群の71.4%に比べ、低酸化群 : 62.9%、高酸化群 : 46.7%と、酸化が進むほど低下した。腎臓の取り込みも同様の傾向を認た。TG/COでみると、酸化が進むほど比は大きいことより、remnant粒子は取り込まれにくいが、取り込まれた粒子はまだTG含量の多い粒子であることを示唆した。3)逆にCOの脾臓への取り込みは、酸化されるほど取り込みが上昇しており、網内系の除去機構もは働らいていると推測された。4)COの肺への取り込みは、酸化群が有意に高かったが、酸化の程度による差は認めなかった。
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