研究概要 |
1.IL12のGVHD発症における意義と抗腫瘍効果 同種骨髄移植患者20例の末梢血リンパ球を分離し,固相化CD3抗体,固相化CD3抗体+IL2,固相化CD3抗体+IL12,IL2,IL12の各々の存在下で2日間培養し,上清中のIFN-γを測定した.またリンパ球除去後,マクロファージをLPS存在下で2日間培養し,固相化CD3抗体存在下でのリンパ球の上清とともにIL12を測定した.固相化CD3+IL12存在下での培養上清中のIFN-γの産生量が急性GVHDの重症度と最も強い正の相関を示した.固相化CD3抗体存在下でのリンパ球培養上清中のIL12の上昇は全く認められなかったが,LPS存在下でのマクロファージ培養上清中のIL12もGVHD発症例では高値を示した. 2.臍帯血移植患者のリンパ球機能とIL12の関わり HLA一致の同胞より臍帯血移植を行った4例の患児の末梢血リンパ球を分離し,1と同様の検討をした.4例中2例がgradelの軽度のGVHDを発症したが,4例全例に固相下CD3+IL12存在下でのリンパ球培養上清中のIFN-γの高値を認め,またLPS存在下でのマクロファージ培養上清中のIL12も全例が上昇していた.以上より臍帯血移植においては,GVHDを発症することなく抗腫瘍効果(GVL)が得られる可能性が示唆された.
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