研究概要 |
臍帯血中のリンパ球機能とIL-12の関わり 凍結保存された臍帯血8検体を解凍後,リンパ球を比重遠沈法にて分離し,固相化CD3抗体,固相化CD3抗体+IL-2,固相化CD3抗体+IL-12,IL-2,IL-12の各々の存在下で2日間培養し,上清中のIFN-γを測定した.またリンパ球除去後,マクロファージをLPS存在下で2日間培養し,上清中のIL-12を測定した.同種骨髄移植後の急性GVHD発症例や健康成人では急性GVHD非発症例に比べ,固相化CD3抗体+IL-12存在下での培養上清中のIFN-γの産生量が高いことを,昨年報告したが,臍帯血中のリンパ球ではIFN-γの産生は急性GVHD非発症例と同程度に低かった.同様に,LPS存在下でのマクロファージ培養上清中のIL-12も急性GVHD発症例や健康成人では高値を示したが,臍帯血中のマクロファージではIL-12の産生は極めて低値であった.以上より臍帯血においてはマクロファージからのIL-12の産生能は不良で,かつ,リンパ球のIL-12の反応も乏しく,GVHDが起こりにくい可能性が示唆された.しかしながら,実際,臍帯血移植患児の移植後のリンパ球においては 上記のIFN-γおよびIL-12の産生能は極めて高く,アロ抗原に対するリンパ球のIL-12の反応は良好でGVHDの発症に至るほどの反応はおこらないまでも,抗腫瘍効果(GVL)が得られる可能性が示唆された.
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