研究課題/領域番号 |
07670905
|
研究種目 |
一般研究(C)
|
研究機関 | 東京慈恵会医科大学 |
研究代表者 |
大橋 十也 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科学, 助手 (60160595)
|
研究分担者 |
洲鎌 盛一 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科学, 助手 (10154452)
津田 隆 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科学, 助手 (50188554)
衛藤 義勝 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科学, 教授 (50056909)
井田 博幸 東京慈恵会医科大学, 医学部・小児科学, 助手 (90167255)
|
キーワード | ムコ多糖症 / Sly病 / アデノウイルス / 遺伝子治療 |
研究概要 |
本研究の目的はムコ多糖症の遺伝子治療法を開発することである。今年度はムコ多糖症VII型の欠損酵素であるβ-glucuronidaseを発現する組換えアデノウイルスを作成しウイルス精製後モデルマウスに静脈内投与し、その効果を検討した。組換えアデノウイルス静注後16日目の肝、脾臓にて酵素活性はそれぞれヘテロの40%,20%に回復していたが、投与後35日目では8%,3%に減少した。腎、脳に於ける酵素活性の上昇は認められなかった。投与後35日目の肝臓、脾臓の組織所見ではライソゾームへのムコ多糖の蓄積はほぼ消失しており、生化学的にも組織中のムコ多糖量は正常化していた。また尿中のムコ多糖の排泄も著減した。アデノウイルスの脳室内投与では主にEpendymal cellに感染していたが一部脳実質細胞に感染していた。 以上より、我々の作成したアデノウイルスを静注することにより、ムコ多糖症の肝および脾臓の病理所見は改善することが明らかとなった。ただアデノウイルスによる遺伝子発現は一過性であり、またホストの免疫反応により反復投与は困難である。事実、我々の実験でも投与後35日目には肝および脾臓の酵素活性は低下していた。現在多くの施設でアデノウイルスをより長期に発現させる試みや反復投与を可能にする試みがなされており、もしこれらのアデノウイルスの問題点が解決されるなら我々のアプローチも臨床応用可能と思われた。脳細胞への遺伝子導入に関しては脳実質細胞への感染効率が悪く次年度にこの問題点に関して検討を加える予定である。
|