研究概要 |
血中抗acetylcholine receptor(AChR)抗体発見は,重症筋無力症(myasthenia gravis,MG)を筋神経接合部AChR障害による自己免疫疾患であるとした.小児期発症MG,特に潜在性全身型(latent general type,LG)において血中抗AChR抗体値は低値か陰性である.これらの小児期発症MGに多数例を認める血清抗AChR抗体値陰性患者の発症機構の解析を行った.われわれはすでにLG型症例において,AChR抗体陰性にもかかわらず,リンパ球AChR感作T細胞の増加および,末梢血確立TH1様細胞クローン数と臨床症状憎悪が相関することを明らかにした.これらのことはLG型の発症にAChR感作T細胞細胞性免疫機構の関与が考えられる.抗原特異的ヘルパーT(TH)細胞活性化は、TH細胞レパトリ-の形成に重要である.LG型MG羅患と関連するHLA-DタイプとしてDRB1^*0901-DQA1^*-0301-DQB1^*0303、DRB1^*1302-DQA1^*0102-DQB1^*0604有意な相関が認められ、成人期発症MGとHLA-Dタイプ発現率に相違が認められた.LG型MG患者のAChR特異的リンパ球は、HLA-DRB1^*0901と結合したAChR抗原ペプチドを認識し、活性されることが、患者AChR特異的T細胞を抗HLA-DR,-DQあるいはDP抗体による増殖抑制の検討から明らかにされた(論文投稿中)。AChR抗原ペプチドで活性化されたAChR特異的TH細胞のレパトリ-相違が、小児期MGの発症機構の解明には必要と考えられ、AChR抗原刺激TH細胞レパトリ-の解析のためAChR感作T細胞ラインからTCRVαβクローンレパトリ-の特異性を明らかにし、血清抗AChR抗体値陰性小児期発症潜在性全身型MGをユニークな疾患単位として確立し、小児期発症MGの病因解明の検討を継続中である。
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