研究概要 |
心臓カテーテル検査を施行した小児期心疾患の19例(男児12例、女児7例),年齢3か月〜11歳において血漿エンドセリン(ET)および一酸化窒素代謝産物(NOx)を測定した.当初予定していた肺静脈における検体採取は,困難な症例もあり,全例において採取可能であった主肺動脈と左心室との2箇所で採血を行った. [結果] 1,ET,NOxとも採取部位による差はなかった. 2,平均肺動脈圧とNOxとの間には,有意の相関があった.(r=0.611,p=0.0055) 3,肺体血圧比とNOxとの間には,有意の相関があった.(r=0.621,p=0.0078) 4,平均肺動脈圧とETとの間には相関関係はなかった. 【考察】 先天性心疾患に伴う肺高血圧患者では,血漿NOx濃度は肺高血圧の重症度に比例して高値を示し,血漿ETよりも鋭敏な指標になるのではないかと考えられる.今後,さらに症例数を増やしての検討が必要である. 血漿ETについては,著明な肺高血圧患者においても有意な高値を示さず,測定方法についても検討が必要であると思われた.
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