研究課題/領域番号 |
07670923
|
研究種目 |
基盤研究(C)
|
配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
小児科学
|
研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
古賀 靖敏 久留米大学, 医学部, 講師 (00225400)
|
研究分担者 |
山下 康博 久留米大学, 医学部, 助手 (70258482)
村上 泰由 久留米大学, 医学部, 助手 (50229960)
|
研究期間 (年度) |
1995 – 1996
|
キーワード | ミトコンドリア脳筋症 / ミトコンドリアDNA / ミトコンドリアtRNA / 点変異 / Leigh脳症 / ミトコンドリア心筋症 / 電子伝達系酵素 / 母型遺伝 |
研究概要 |
【目的】 未だ病態の解明されていないミトコンドリアtRNA異常症でその分子生物学的病態を明確にする。 【結果および考察】 1)Leigh脳症の患者で、MELASで報告されているミトコンドリアtRNALeu(UUR)のA3242Gの点変異を世界で初めて発見報告した。患者は、大脳基底核領域の対称性壊死とグリオーシスを認め、臨床病理学的にはLeigh脳症と確定できた。幼少時より精神運動発達遅滞を呈し、神経学的にLennox-Gastaut症候群を伴っていた。家系では、母系遺伝が認められた。本症は、ミトコンドリア遺伝子異常症の臨床スペクトルを確認する上で重要な症例と思われる。2)上記症例においてRNA19の異常蓄積を認めた。このことは、MELAS、Leigh脳症などの臨床病型を問わず、ミトコンドリアtRNALeu(UUR)のA3243Gの点変異を有する患者ではミトコンドリアRNAのプロセッシングが異常となることを示しており、普遍的な病態が存在する事を示している。同じ遺伝子異常であるにも拘わらず、異なる病型を示す機序に関しては今後の各臓器での点変異分布、臓器におけるATP依存度、臓器による特異的なプロセッシングの違いが症状発現に関与している可能性が考えられ今後検討しなければならない。3)最近NIDDM、IDDMでミトコンドリアDNAに異常を有する糖尿病(ミトコンドリア糖尿病)が報告された。報告例は、いづれも成人症例で前糖尿病病型の1%から8%と多く報告されている。一方、ミトコンドリアDNAの変異は、核DNAの10倍と変異率が高く、小児糖尿病症例での点変異の報告はない。今回15歳以下で糖尿病を発症した症例115例に関し、ミトコンドリアtRNALeu(UUR)のA3243Gの点変異の頻度を検索した。その結果、小児糖尿病115例中、1例で同様の変異が確認され、一般小児糖尿病患児でもミトコンドリアtRNALeu(UUR)のA3243G変異は確認された。 【今後の展望】 現在多くのミトコンドリアDNA異常症が報告されている。しかしその遺伝子異常と病型発現を解明する病態生理に関しては未だ不明の点が多く、今後DNA、RNA、酵素活性などの機能検索と、元来臓器別に異なると考えられる各種遺伝子発現機構の関係を重点に研究をすすめていく必要がある。
|