研究課題/領域番号 |
07670924
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研究種目 |
一般研究(C)
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研究機関 | 久留米大学 |
研究代表者 |
木村 昭彦 久留米大学, 医学部, 助手 (00211201)
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研究分担者 |
井上 寿郎 久留米大学, 医学部, 助手 (00246638)
藤間 貞彦 北海道医療大学, 薬学部・薬品分析科, 教授 (30001043)
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キーワード | 不飽和ケト胆汁酸 / 胆汁酸代謝異常症 / 胆道閉鎖症 |
研究概要 |
われわれは、本研究のために以下の研究目的を立てた。すなわち、新生児尿中にΔ^4-3-oxo-bile acidsが存在し、さらに重症肝障害において尿中にΔ^4-3-oxo-bile acidsが多量に検出されることから、1.新生児、乳児期の尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsの発達的推移を知り、その各年齢での正常値(Mean±SD)を明かにする、2.各種胆汁うっ滞症(胆道閉鎖症、新生児肝炎、Alagille症候群など)の尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsを分析定量し正常値と比較検討する、3.尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsの診断的意義を明かにする、である。 平成7年度の研究課題は1.であり、その結果は、1.0、3、7生日、1、2、3ヵ月の各々6検体を分析定量し、尿中Δ^4-3-oxo-bile acids濃度は7生日で最高値(22.7±49.2μmol/L)を示した。しかし、他群と有意差は見られなかった。2.尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsの総胆汁酸に対する割合は0生日で34.2±16.2%を示し、3、7生日、1、3ヵ月より有意に高値を示した(p<0.05)。また、本研究中に2例のΔ^4-3-oxosteroid 5β-redautase欠損症が疑われる乳児胆汁うっ滞症を経験した。いずれも尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsの総胆汁酸に対する割合は80%以上であった。さらに原因不明の乳児胆汁うっ滞症による肝硬変で、病期の進行と共に尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsの総胆汁酸に対する割合が増加した症例を経験した。 以上より新生児、乳児期の尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsの発達的推移を明かにしたことにより、新生児、乳児期の各種胆汁うっ滞症(特に、Δ^4-3-oxosteroid 5β-redautase欠損症)の鑑別、および尿中Δ^4-3-oxo-bile acidsの総胆汁酸に対する割合は重症度の指標になる可能性が示唆された。
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