研究概要 |
この1年間に我々は、乳児〜成人までの尿中胆汁酸分析を行いΔ^4-3-oxo-bile acids のtotal bile acidsに対する割合(%)を明らかにした。これにより、正常児(者)の尿中Δ^4-3-oxo-bile acids (%)が明らかになった。さらに、乳児期の急性および慢性胆汁鬱滞症、小児慢性肝炎および肝硬変、成人慢性肝炎および肝硬変の尿中Δ^4-3-oxo-bile acids (%)を分析し、正常児(者)のそれと比較した。 その結果、正常児(者)の尿中Δ^4-3-oxo-bile acids (%)は全年齢を通じて0-4.9%であった。乳児期の急性および慢性胆汁鬱滞症では、すなわち、5β-Reductase deficiency (n=2)(平均値94.2%)は、急性肝炎(n=3)、劇症肝炎(n=3)、胆道閉鎖症(n=8)、乳児胆汁鬱滞症(n=11)、およびコントロールに比し明らかに高値を示した(p<0.0001)。急性肝炎(34.9%)、劇症肝炎(34.7%)もまた胆道閉鎖症、乳児胆汁鬱滞症、コントロールに比し明らかに高値を示した(p<0.0001)。胆道閉鎖相(11.9%)は、乳児胆汁鬱滞症、コントロールに比し明らかに高値を示した(p<0.05)。しかしながら、胆道閉鎖症と新生児肝炎(5.4%)は有意差は認められなかった。また、hyperΔ^4-3-oxo-bile aciduria を呈した5β-Reductase deficiency、急性肝炎、劇症肝炎の内7α-hydroxy-3-oxochol-4-en-24 oic acid と3-oxochola-4,6-dien-24 oic acidの割合の多い5β-Reductase deficiency、劇症肝炎は予後不良であり、肝移植が必要と考えられた。 これらの結果より、7α-hydroxy-3-oxochol-4-en-24 oic acid と3-oxochola-4,6-dien-24 oicacid の割合の多いhyperΔ^4-3-oxo-bile aciduraiを伴う胆汁鬱滞症は、肝移植を念頭に十分な観察が必要と考えた。また、乳児胆汁鬱滞症において尿中Δ^4-3-oxo-bile acids(%)を明らかにすることは、胆道閉鎖症をスクリーニングする上でも大事な事と考えた。
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