1.類天疱瘡抗原遺伝子(BPAG1) ヒト培養ケラチノサイトにTGF-βを種々の濃度で添加し、種々の時間インキュベートした後にRNAを抽出し、RT-PCR法にてBPAG1の発現を検討した。その結果、濃度依存的、時間依存的にBPAG1の発現は減少した。この現象はcycloheximideの同時添加により消失するため、de-novoの蛋白合成を介することが明らかとなった。BPAG1プロモーター・CATプラスミドをトランスフェクトした培養ケラチノサイトを用いた実験系により、このBPAG1の発現抑制は、後転写レベルで生じていることが明らかとなった。 BPAG1のケラチノサイト特異的発現を調節しているcis-element、KRE2に結合する核蛋白をゲルシフトアッセイ法にて検討した。その結果、この遺伝子の組織特異的発現にはPOUホメオドメイン遺伝子が関与していることが明らかとなった。 2.ヒト尋常性天疱瘡遺伝子(Dsg3) クローニングされたDsg3のプロモーター領域の種々の長さのDNA断片をCAT遺伝子上流に接続したプラスミド群を作成し、培養ケラチノサイトを用いたトランスフェクション実験によりこの遺伝子の表皮特異的発現に関与するcis-elementを同定した。その領域内に、POUホメオドメイン遺伝子産物の結合を示唆する塩基配列が同定され、この遺伝子が、BPAG1と類似の転写調節機構を有する可能性が示唆された。
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