本研究は先天性表皮水疱症の正確な病型診断、保因者診断、出生前診断のための遺伝子診断法を開発することを目的としている。平成7年度は以下の研究実績が得られた。 1.単純型表皮水疱症において異常ケラチン遺伝子がタイプI、タイプIIのいずれに属するのかをスクリーニングするために、COL2AI、COL1AI遺伝子多型による解析を試みた。その結果、日本人家系においてもこれらのDNAマーカーによる多型はinformativeであり、比較的簡便に家系ごとに異常遺伝子型判定が可能であった。 2.単純型表皮水疱症では、1に引き続いて実際の遺伝子変異の検出を試みた。その結果、3家系においてケラチンK14でArg125Cys、ケラチンK5でLeu174Phe、Leu463Proの変異が同定された。 3.優性栄養障害型の1家系において、VII型コラーゲン遺伝子のPvuII、AluI多型について検索した。家系が小さかったため有意の連鎖は検出できなかった。この家系においても原因遺伝子はVII型コラーゲンであることと矛盾しない結果であった。 4.患者家系については自施設の他、全国の8施設より血液の送付があり、DNAを分離して保存中である。
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