研究概要 |
ヒト臍帯血より単核細胞を分離した後, stem cell factorとinterleukin-6共存下に液体培養した.この培養細胞を用いて,トリプテ-スとカイメ-スに対する二重免疫染色を行うと,培養100日以上を経過するとほぼ100%の細胞がトリプテ-ス陽性となり,肥満細胞であることが確認された.さらに培養を継続すると,トリプテ-スおよびカイメ-スに陽性の細胞が20%程出現した.こうして得られたヒト培養肥満細胞を各種刺激剤により刺激し,遊離するヒスタミンをHPLC法により測定した.まず,ヒトIgEにより培養肥満細胞を感作し,ついで抗ヒトIgE抗体により刺激すると,抗IgE抗体の濃度,および抗IgE抗体との反応時間に依存して明らかなヒスタミン遊離が認められた.ついで,カルシウムイオノフオアA23187により刺激すると,同様にイオノフオアの濃度,および反応時間に依存して明らかなヒスタミン遊離が認められた.しかし,コンパウンド48/80,あるいはサブスタンスP刺激では,明らかなヒスタミン遊離は認められなかった.すなわち,ヒト培養肥満細胞は刺激により異なった反応を示すことが明らかとなった.つぎに,皮膚肥満細胞症の患者の皮疹部組織を採取し,トリプテ-スとカイメ-スに対する二重免疫染色を行ったところ,皮膚肥満細胞症の肥満細胞はトリプテ-ス,カイメ-ス陽性細胞で,肥満細胞は脱顆粒を呈していた.ついでその組織を用いて,パーコール不連続密度勾配法によりヒト皮膚肥満細胞を分離し,サイトカインの共存下に培養を試みたが,成功に至らなかった.
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