研究概要 |
先天性色素性母斑3例,黒色腫原発巣1例,黒色腫転移巣6例の手術材料を得,また黒色腫転移巣4例により確立されたcell lineを用いて,それぞれガングリオシド組成,スルファチド組成を生化学的に検討した。 ガングリオシド組成としては,いずれの検体においてもGM_3,GD_3が主成分であったが,先天性色素性母斑においてはGM_3が最も多量に検出されるのに対して(GM_3:70.3-71.8%,GD_3:28.2-29.7%),黒色腫原発巣においてはその比が逆転していた(GM_3:29.3%,GD_3:68.6%)。 スルファチド組成としては,先天性色素性母斑および黒色腫原発巣において,ガラクトシルセラシド-3-硫酸が明らかに検出された(先天性色素性母斑:33.3-85.8μg/g,黒色腫原発巣:34.6μg/g)のに対して,黒色腫転移巣および転移巣培養細胞においては検出不可能であった。スルファチドは接着分子L-,P-セレクチンのリガンドであり,スルファチドが黒色腫転移巣において消失するという現像は黒色腫の転移能との関係で注目される。 インターフェロンβ(IFNβ)および腫瘍壊死因子の(TNFα)の培養黒色腫細胞ガングリオシド組成への影響を2つの黒色腫cell lineを用いて検討した。IFNβによりO-acetyl GD_3の減少,TNFαにより全ガングリオシド量の減少といった変化がみられた。
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