本年度は表皮内癌であるBowen病をヌードマウスに移植し、当教室で開発された有窓包埋法を用いてBowen病の実験モデルを作成し、本実験に供与した。光増感剤としてフタロサイアニン誘導体を腹腔内投与後、波長可変レーザー(OPO)システムを使用しレーザー照射を施行した。その結果、組織学的に壊死が拡大し、腫瘍細胞のBrdUによる標識率が低下した。現在5-アミノルブリン酸塩(ALA)の外用剤を試験開発中であり、同実験モデルに対して追加実験中である。 また従来より当教室で移植継代中のC3Hマウス腫瘍を使用し、種々の光増感剤を同一濃度で投与し、同一の照射強度でOPOレーザーを照射し、さらに超音波併用照射を行い腫瘍成長曲線を作成し比較検討した。その結果、光力学的抗腫瘍効果の大きい順はPc-Al>5-ALA>HpO>PhotofrinnII>Controlであった。またPH-1126において超音波増感効果が確認された。 HMF melanoma cell、L5178 leukemia cell、HL-60 leukemia cellを用い、5-ALAを取り込ませ、レーザー照射後に、TUNEL法、DNAラダーの検出を試みたところ、L5178 leukemia cell、HL-60 leukemia cell培養細胞にアポトーシスの誘導が観察された。 これらの研究成果は日本皮膚科学会総会、日本研究皮膚科学会、日本光医学・光生物学会、日本レーザー学会において発表し、Photomedicine and Photobiologyに報告した。現在さらに他の光増感剤との比較検討し、検討中であり、今後増加が懸念される皮膚癌に対してより有効な光力学的療法の基礎データーが着実に集まりつつある。
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