研究概要 |
本年度の研究実績の概要は下記の通りである。 1.正常ヒト表皮細胞を得て,無血清培地で継代培養した。中波長紫外線を50mJ/cm^2あるいは100mJ/cm^2単回照射することにより,細胞表面への核あるいは細胞質内成分とされるSS-A/Ro抗原発現を誘導した。 2.上記の系に,di-(p-methoxycinnamoyloxy)-mono-(2'-ethylhexanoylovy)propane(以下サンスクリーン)を用いることにより,SS-A/Ro抗原の発現は20〜30%(培養細胞数あたりのパーセント)から5%前後に低下した。 3.1の表に,IL-1α,β,ETAF,IFN-γ,TNFαを添加し,SS-A/Ro抗原の発現の変化を観察したところ,ETAFのみが増強硬化を示した。 以上の知見は,ヒト表皮細胞の紫外線特に中波長紫外線による易感受性がサンスクリーン剤やある種のサイトカインで制御できることを示したin vitroの結果である。In vivoにおける表皮と紫外線易感受性ひいては光線過敏症や光発癌との関係あるいはそのコントロールに示唆を与えるものである。
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