尋常性天疱瘡、水疱性類天疱瘡、後天性表皮水症などの水疱症は細胞間接着分子、または細胞-細胞外マトリクス接着分子に対する自己抗体が生ずる臓器特異的な自己免疫性疾患である。これらの自己抗体は標的分子である接着分子を攻撃し、その機能を障害することにより発症に至るプロセス開始させると考えられている。しかし、この水疱症発症の機序のうち、抗体はポリクローナル抗体(主として患者血清)のまま検討が加えられている。我々の研究目的は水疱症抗原に対する抗体を作製し、これらをcDNAのレベルで単離し、発症に至る抗体の性質を検討することによる。水疱症抗原で免疫したマウス脾細胞よりRNAを抽出し、この全mRNAに対応するcDNAを作製した。このcDNAを全て膜発現型のベクターにくみこみ、全mRNAに対応するファージライブラリーを大腸菌に感染させ膜発現型のファージライブラリーの作製に成功した。ライブラリーは10^7のオーダーであり、増殖により10^<13>の感染性ファージライブラリーを作製した。このライブラリーを、精嚢、純化した水疱症抗原を用いてパニングをおこなった。パニングの結果10^6〜10^7エンリッチフラクションを得た。すなわち、数クローンの単離をおこなった。これらのクローンのcDNAがコートするアミノ酸配列が生体内で水疱症抗原を認識するかどうか現在検討中である。
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