研究概要 |
1)イディオタイプネットワークの免疫組織学的解析 マウス抗イディオタイプモノクローナル抗体(抗IdmAb)MK2-3を免疫して作製したメラノーマ抗原と反応する8種の抗抗IdmAbを用いて正常組織および良性、悪性皮膚腫瘍における反応性を免疫組織学的に詳細に検討した。8種の抗抗IdmAbはメラノーマ細胞と反応するが、それぞれ微妙に異なる反応性を正常組織、良性、悪性腫瘍で示した。この微妙な違いは8種の抗抗IdmAbのvariable regionのheavy chainとlight chainのアミノ酸シークエンスの違いを反映しているものと考えられた。 2)メラノーマ細胞のHLA class1の消失のメカニズムの解析 癌のワクチン療法はTリンパ球による腫瘍細胞を破壊が主な作用機序と考えられる。最近腫瘍細胞にHLA class1が欠損することが報告され、それは癌ワクチン療法の有効性を左右する重要な現象と考えられる。今回HLA class1 monomorphic,locus specific,allele specificに対するmAbを6、6、25種類を用いて免疫組織学的に検討した。メラノーマ原発巣ではそれぞれ20,25,40%で、また転移巣では60,50,60%の症例で低下/消失がみられた。またその発現はTAP-1,-2分子と密接に関連しており、HLA class1抗原消失のメカニズムにTAP分子が深く関与していると考えられる。
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