研究概要 |
ある自己免疫性水疱症患者血清が認識する450kDa分子の構造およびその遺伝子発現を研究する目的で、既に得られた2.0-および0.8-kbの2種の450kDa cDNAクローンを用いて実験を行い以下の結果を得た。 1.450kDa分子のcDNA塩基配列決定 PCR-RACE(rapid amplification of cDNA ends)法により全長cDNAを得ようとしたが、成功しなかった為、元来のプラーク・ハイブリダイゼイション法に変更した。既に明らかになった2.0-kbの3'側の塩基配列をプローブにしてHeLa cell由来のcDNAライブラリーをスクリーニングし、1.4-,1.8-,2.5-kbの3種のクローンを得た。これらは2.0-kbクローンの3'側と各々0.2-,0.6-,1.0-kbオーバーラップしていたが、それ以外の部分の互いのホモロジーは低く、また1.4-kbクローンの1285番目の塩基配列に停止コドンがあらわれた為2.5-,1.8-,1.4-kbの順にtandemに配列していると考えられた。これらのクローン間になお未知の塩基配列が存在すると考えられるが、既知の2.0-kbも含め3'側のcDNAのほぼ5-6kbの配列(全長12〜13-kbとして約2分の1)が決定された。PCR-RACE法が成功しなかった理由の一つとして、この分子内に多くの繰り返し塩基配列が存在することが考えられた。 2.450kDa分子の遺伝子クローン単離 また5'末端のcDNAが得られてから遺伝子ライブラリーをスクリーニングする予定であったが、上記の如く5'末端cDNAがまだ得られていないため、手持ちのcDNAをプローブに遺伝子ライブラリーをスクリーニングした。2.0-および0.8-kbの2種のcDNAクローンの各々に特異的にハイブリダイズする遺伝子クローンを2および1個、また両者にハイブリダイズする共通のクローンを5個得て、現在その制限酵素によるマップを作成中である。
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