ある自己免疫性水疱症患者血清が認識する450-kDa分子の構造およびその遺伝子発現研究する目的で、以下の実験をおこなった。同血清をプローブにしてヒト表皮細胞由来のcDNAライブラリーより2種のcDNAクローン(pE450-B ; 0.8kb、pE450-C/D ; 2.0kb)をわれわれは同定していた。 (1)450-kDa分子の構造 pE450-B、pE450-C/Dの特異配列を蛋白発現ベクターに組込み融合蛋白を作成し、450-kDaを認識する患者血清との反応を検討した結果、患者血清はpE450-C/D由来の蛋白質とのみ反応した。またpE450-BはヒトのプレクチンのcDNAとほぼ一致したが、pE450-C/Dは一致せず、450-kDa自己抗原はプレクチン・ファミリーに属する新しい分子であることが確定し、プレクチン2と名づけられた。pE450-C/Dはプラーク・ハイブリダイゼイション、5^lRACE(rapid amplification of cDNA ends)法により全長14kb中3^l側8kbまでその塩基配列を決定した。その結果プレクチン2のカルボキシ末端側には534アミノ酸残基からなる3回の繰り返し構造が存在した。これは、6回の不規則な繰り返し構造を有するプレクチンとは対照的で、3回の繰り返し構造をもつデスモプラキンにむしろ類似していた。異なるスプライシング・フォームと考えられるクローンも得られ、カルボキシ末端側には2種のフォームが存在することが明らかになった。 @ 450-kDaゲノム・クローンの単離 pE450-C/Dに特異的にハイブリダイズするゲノム・クローンを2個、またpE450-B、pE450-C/D共通にハイブリダイズするゲノム・クローンを5個単離し、現在解析中である。
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