抗原として金、水銀、ニッケル、鉛を用い、それら抗原にたいする遅延型反応を検討した。さらに種々のマウスを用いストレイン間での差の有無を観察した。各抗原に対する遅延型反応は足蹠腫脹反応や耳翼腫脹反応などのin vivoの系で観察でき、種々のマウス間で反応に差がみられ、マウスMHCであるH-2領域のクラスII(I-A)に拘束されることが判明した。 次に、抗原を種々の方法でマウスに感作し(静注、筋注、皮下注、アジュヴァント添加、等)経時的に自己抗体の産生をELISA法で測定した。また自己抗体産生のマウスストレイン間での差も検討した。さらにマウス各臓器、特に皮膚、腎臓、心臓、脳等の病変について病理組織学的、蛍光抗体法にて検討した。さらに、マウスの週齢、ストレイン、雌雄などによる差なども検討した。水銀を用いた自己抗体産生では、Sハプロタイプのマウスが産生しやすかった。他の抗原、各臓器などに関しては現在進行中である。 遅延型反応については、この反応に関与するのはCD4陽性のT細胞であり、CD8陽性T細胞は反応を抑制しないことが判明した。金属抗原がハプテンとして作用しているのか、MHCや他の抗原を修飾して反応を惹起しているのかについては検討しなかった。また自己抗体は少数のマウスのみが産生する可能性が示され、それらの機序を今後検討する必要がある。
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