研究概要 |
神経線維腫症2(NF2)は中枢だけでなく,末梢にも神経鞘腫が多発する疾患で,両側性聴神経腫瘍は必発ではない.臨床的に発症が20歳以下で,腫瘍数も多い早発型(Wishart型)と発症が20歳以降で,腫瘍数も少ない遅発型(Gardner)に分類される. 今年度は,NF2遺伝子変異の同定法としてNF2遺伝子変異の多くが蛋白合成を中断する特徴を利用し,protein truncation test(PTT)法を用いて,NF2遺伝子変異の検出を行った.患者の腫瘍組織からRNAを抽出し,RT-PCRにてNF2のコード領域の全長cDNAを得た.PCRに用いたセンスプライマーの5'末端側にT7RNAポリメラーゼ結合配列を導入し,増幅したcDNAにT7RNAポリメラーゼを作用させることにより,試験管内でRNA合成,蛋白合成をさせ,合成産物の分子量を測定することによりその遺伝子の変異の有無を調べた. 結果は4腫瘍組織中3例(75%)に蛋白合成の異常を認め,遺伝子解析の結果,C末端側の異常2例,N末端側の異常1例であり,1例はExon16のインサーションであり,残りのものは現在解析中である.PTT法はPCR-SSCP法(変異検出率43%)よりも感度が良く,スクリーニングには良い結果が得られた.
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