研究概要 |
1.合成ユ-メラニンの性状の化学的分析 チロシン,ドーパ,5,6-ジヒドロキシインドール(DHI),DHI-2-カルボン酸(DHICA)をチロシナーゼで酸化し,得られたメラニンの性状を,我々の開発したHPLC法及び比色法により化学的に分析した。可溶性のDHICAメラニンをゲルろ過HPLCで分析して分子量分布を調べた。これらの結果に基づき,ユ-メラニン中のDHICA含量や分子の大きさを推定する方法を確立した(投稿準備中)。 2.化学的手法によるマウス毛色遺伝子の機能の解析 遺伝的な背景の明確なマウスの体毛について,全メラニン量,ユ-メラニン量,フェオメラニン量,高分子ユ-メラニン量などを定量した。その結果,brown(TRP1変異)のメラニンはblackとDHICA含量は同じであるが,分子量が小さいこと,slaty(TRP変異)のメラニンはDHICA含量がblackの1/5であることなどを明らかにした。Sliverもbrown型のメラニンであった(J Invest Dermatol, 1995)。 3.ヒツジ及びヒト毛髪中のメラニンの化学的分析 遺伝的背景の明確なヒツジの体毛及び種々の色調のヒト毛髪中のメラニンを,上記の手法を用いて化学的に分析した。その結果,ヒトの毛髪のユ-メラニンはDHICA含量が低いこと,ヒトやヒツジの赤毛のフェオメラニンはマウスの黄色のそれとは性状が大きく異なることがわかった(Pigment Cell Res,印刷中)。 これらの研究の過程で,比色法によるユ-メラニンとフェオメラニンの簡易な同時定量法を開発した(投稿準備中))。
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