研究概要 |
1。乾癬におけるTNF_α、IL-8のmRNAの定量を皮疹部、境界部、無疹部について検討した。その結果、TNFでは境界部、皮疹部、無疹部の順に発現が多いことがわかった。IL-8については皮疹部、(膿疱形成の部位)で非常に強いことがわかった。これらは定量的であることを、作成したmutantRNAからの検量線をつくることで算定しているのでデーターの信頼性は高いものと思われる。 (投稿準備中) 2皮膚局所におけるサイトカイン発現がRt-PCR法にて検討できた結果、そのソースとなるものはT細胞のみかという問題がある。そこでアトピー性皮膚炎におけるTH1,TH2の検討をする目的でまずT細胞活性について検討したところ黄色ブ菌がTOXINを産生していることから、リンパ球の増殖反応をしらべた。結果はアトピー群ではあきらかにコントロール群より単核球の増殖活性が強かった。この意味は少なくとも黄色ブ菌が抗原としてかあるいはスーパー抗原として働いているかは別にして、T細胞を異常増殖させている可能性を示している。臨床的には黄色ブ菌TOXINがアトピー性皮膚炎の急性憎悪に関与していると思われる。 (J. Derm. Science, in press,1996) そこでスーパー抗原として働いているかを検討する目的で、TCRVb鎖のレパートリーを調べたところ、皮膚では正常に比べてVb13が多い傾向にある。(途中経過)ことからSEC(黄色ブ菌TOXIN)に関与している可能性がある。 3 好酸球顆粒蛋白の検討は局所のサイトカインの産生に関与している可能性を調べるために実施した。皮膚局所でどのようなサイトカインを介して好酸球が皮疹の形成に関与しているかを検討しているが、アトピー性皮膚炎と大腸炎の合併が多いとの検討から(投稿中)まず皮膚と腸管の好酸球顆粒蛋白(MBP,EPO,ECPにたいする単クローン抗体をもちいて)の検討を行い連続切片でもその染色パターンが異なることから好酸球の活性において違いがあるのではないかと考えている。(結果か原因かは不明)その結果、サイトカイン産生のパターンが少しずつ異なるのかもしれない。又さらにこの好酸球の浸潤にはRANTESが関与していることをRT-OCR法で明らかにした。(Int. Arr. Clin. Imm 1996 in press)以上の検討から、皮膚局所のサイトカインの検討から更に産生細胞の検討もする必要があり、さらにそのアレルギー反応を引き金の検討が必要と考える。その点ではT細胞、IgE産生、マスト細胞、好酸球について何が中心的な細胞かを調べる必要がある。
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