catagenにおいてみられる毛嚢の退縮はapoptosisそのものと考えられるが、今までの報告は形態のみでは説明されていた。apotosisにおいてはDNAのfragmentationがその特徴であることから、組織レベルおよび毛嚢から抽出したDNAにてfragmentationを証明することが不可欠である。2年間の実験にて、組織においてはterminal deoxy-nucleotidyl transferase-mediated dUTP nick end labeling(TUNEL)法にて、毛嚢の可変部においてlate anagenからcatagenにおいてDNA fragmentationがみられることを、更に、毛嚢より抽出したDNAの電気泳動にてapoptosisに特徴的なDNA ladderがみられることを証明した。 次に、何が毛嚢のapoptosisを誘導するかが問題である。今回はTransforming growth factor β(TGF β)に関して実験を施行した。即ち、TGF βは種々の上皮系細胞の増殖を抑制することが知られており、また、ある種の細胞にapoptosisを誘導することがわかっている。マウス毛嚢から培養した上皮系細胞にTGF βを添加し、TUNEL法にてapoptosisを来した細胞数を算定した。その結果、TGF βを添加した群においてcontrol群よりも有意に陽性細胞が増加していた。従って、TGF βは少なくとも毛嚢のapoptosisの誘導に関与していることが示唆された。今後、他のサイトカインも同様の実験を行うことが必要である。
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