白癬およびスポロトリコ-シス患者における免疫応答について、サイトカインレベルで検討し、次のような成果が得られた。 1.慢性の足白癬患者におけるサイトカイン産生 角質増殖型などの慢性の白癬を有する患者の末梢血単核球を白癬菌抗原の存在下で72時間培養した培養上清中には、小水疱型などの急性の足白癬を有する患者のそれに比べてIFN-γとGM-CSFの活性が低下していた。以上より慢性の足白癬患者では遅延型過敏反応に関与する主なサイトカインであるIFN-γとGM・CSFの産生が低下していることが判明した。 2.白癬にみられる角層下膿疱におけるIL-8の関与 培養表皮角化細胞の白癬菌抗原刺激によるIL-8産生を検討した結果、培養表皮角化細胞が白癬菌抗原刺激によりIL-8の産生を増強し、このことが白癬にみられる角層下膿疱の形成に関与している可能性を提唱した。 3.スポロトリコ-シス患者におけるサイトカイン産生 患者末梢血単核球をスポロトリキンの存在下で培養した培養上清中には高いIFN-γ活性が認められた。以上より患者末梢血中にはスポロトリキン刺激により増殖し、またIFN-γを産生するスポロトリキンに特異的なT細胞が存在することが判明した。 以上より、皮膚真菌感染に対する感染防御機転には種々のサイトカインの関与が必要となることが明らかとなった。
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