研究概要 |
放射線治療後の腫瘍内血管の変化は、以前から臨床的に問題となっている。そこで放射線治療と薬剤投与との間隔ならびに薬剤投与のタイミングに関係した腫瘍内血管分布と腫瘍内増殖細胞との関連性について検討し、放射線照射後の薬剤到達性に腫瘍内血管分布と増殖細胞の分布がどのように関連しているかについて検討している。その概要として、基礎的な研究と臨床に近い研究に分け、検討を行っており、前者では実験腫瘍を用いて、WHT/Htマウスに移植し、その後切片標本を作成し、3〜5種の抗体(PCNA,PAI,U-PA等)により免疫染色を行い、増殖細胞の分布を検討している。同時に蛍光色素を腫瘍血管内に注入し蛍光顕微鏡で腫瘍内血管分布の観察と検討を行っている。後者では患者の献体を用いて、BALB/cヌードマウス背中に移植し、直径が約8mmになった時点で、上記同様の方法で腫瘍内血管分布並びに増殖細胞の分布の検討を行っている。加えて、ヌウドマウスに移植した患者の献体の形態学的にミクロの面から、どのような血管構築をしているかを観察するために血管鋳型を作製し、走査型電子顕微鏡で観察、検討している。現在、基礎的な研究では、切片の作製、蛍光色素による血管分布の観察、免疫染色による増殖細胞の分布の観察を行っている。患者の献体を用いた臨床的な研究では、種々の症例の患者さんからの献体を集め献体数を増やしている最中である。また放射線照射後の献体ではどの様に変化するのかを検討すると共に、基礎研究のdataと照らし合わせて検討する予定である。
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