研究概要 |
抗癌剤投与に当たり、腫瘍への薬剤到達性は非常に重要であるが、これは血管の分布に大きく左右されると考えられる。また増殖細胞の数、分布は薬剤が効果的に投与されるため重要である。そこで腫瘍内血管分布と増殖細胞の分布との関連を検討した。基礎研究としてヌードマウスに人癌を移植し、0.5-0.8cm径になった時点で切片を作成し、免疫染色(PCN.UPA PA1-1)を行った。臨床的な研究として患者の検体の切片を作成し、同様に免疫染色(PCNA,UPA PA1-1)を行い、放射線照射後の患者のsurvivalとの対比して検討した。人癌(舌)19例について行った。放射線照射後の血管分布は腫瘍の種類によって異なり、偏平上皮癌(S.C.C.)と繊維肉腫(Fib.)では差が見られた。S.C.C.は照射直後に血管分布が急激に減少し、14日目から再増殖が見られた。一方、Fib.は照射直後に血管の破壊が見られるが7日目から再増殖が始まり、回復してくる像が監察された。患者の検体の免疫染色では、染色性の強弱の染色された細胞の比率により、3つのscoreに分け検討を行った。0%→0.1〜30%→1.31〜100%→2と設定し、患者の予後と比較検討した。その結果、PCNAとPA1-1はほぼ同様の結果がえられ、中間の1〜30%の染色率の患者の予後が良いことが判明した。UPNに関しては染色性による予後に差が見られなかった。今後検体数並びに免疫染色の抗体数を増やし、免疫染色によって患者の予後の判定基準になりうるかどうかを検討したい。
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