鈴木、堀らによって開発された、ラット用の透明窓を参考にして、手作りによって、アルミニウム性マウス透明窓を開発した。厚さ1mmの窓用L字型アルミレールを約1.5cmの長さに切断したものを2枚用意し、マウスの皮膚を傷つけないように四方の隅とL字の角をグラインダーで削り、L字型の長い方の面に直径9mmと10mmの穴を開け、その穴に厚さ1mmのアクリル板を貼り、その間にマウスの片方の皮膚を挟み込むことによって(もう片方は切除して、対側皮膚の真皮内の血管を内側から観ることになる)、マウス皮膚内の血管が観察できるようにした。透明窓のマウス皮膚への固定は、透明窓の四隅に開けた1mmの穴を通したポリエチレンのチューブを、皮膚を挟む圧力を真皮内の血管がつぶれて血流が変化しないように調節しながら加熱したハンダ鏝でつぶすことによって行った(この固定の方法がかなり大切な手技である)。 上記の手作り透明窓を5匹の12週齢のWHT/Htマウス背部に植え、全身に対する影響を調べた。移植後2日目で平均10%の体重減少を認めたが、3日目より体重増加に転じ、5日目で元の体重に戻り、その後コントロールと同様の体重増加を認めた。移植部の感染なども起こさず、透明窓の移植は全身に大きな影響を与えることなく、安全に行えることが分かった。(この間抗生物質の投与は行っておらず、無菌的に透明窓移植を行えば移植部の感染に関しては十分であると思われる。)現在、この透明窓内の真皮上に、WHT/Htマウスの移植可能な扁平上皮癌の細片を挟み込むようにして移植し、腫瘍血管新生を観察している。
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