研究概要 |
12症例について放射線・化学療法の前後に201TlCl‐SPECTを行い,CTあるいはMRIをSPECTと同時期,治療後1〜2ヶ月に行い,Ti‐index(腫瘍部の201Tl uptake/正常部201Tl uptake)との関係を比較した。悪性腫瘍は10例,良性腫瘍は2例に行った。治療直後ではCTやMRIでの腫瘍の大きさにはほとんど変化がなくともTl‐indexの低下例があり,それらは治療後1〜2ヶ月で増大傾向にあった。CTやMRIで腫瘍が縮小していた例でのTl‐indexは全例で低下していた。さらに,CTやMRIで腫瘍縮小の認められなかった症例で,Tl‐indexの低下していた例では,治療後1〜2ヶ月で腫瘍は縮小傾向にあった。201TlClの集積部位は造影CTや造影MRIでみられる造影剤増強部位にほとんど一致していた。これについては201TlClがとくに腫瘍の活性部位を描出することについて,CTやMRIを凌駕するものとは考えられなかった。201Tl‐SPECTは分解能ではCTやMRIより劣るため腫瘍内での活性部位同定にはやや不十分であり,より高分解能のSPECTが必要に思われた。腫瘍全体としての201Tl uptakeを測定すると必ずしも先の結果は得られなかった。腫瘍内での最も201TlClのuptakeの高い部位についてはCTやMRIでみる腫瘍の大きさより,治療効果を忠実に表していることが考えられた。
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